『6歳までの子どものほめ方叱り方』【解説・感想】叱る場面はたったの3つ

本の紹介

今回は、植松紀子著『「叱ってばかり…」の毎日が変わる! 6歳までの子どものほめ方叱り方』という本をご紹介します。

本書ではタイトルの通り、6歳までの子どもを「いつ・どのように」叱ればよいのか、あるいはどのように褒めたらいいのか、具体的に分かりやすく教えてくれます。

「日常的に怒ってしまう自分をなんとか変えたい」と考え、試行錯誤していた私。

ですが、実際に子育てをする中で「叱った方が良い場面」というのも当然あるよな…?そう考えていたときに、大きなヒントを与えてくれました。

褒め方についてもとても参考になるのですが、今回は叱る際のポイントに絞って解説していきたいと思います。先に結論を書いてしまうと、次の通りです。

  • 叱る場面は、実は3つしかない。
  • しっかりと感情を込める。子どもが「お母さんは怒っている」と理解できることが大切。
  • 「だめ」「いけない」と伝えた後で、短くなぜだめなのかを教える。
  • 叱った後に愚痴のようにくどくど言わない。

本文では、これらをより詳しくみていきます。

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本書はこんな本

著者の植松紀子さんは、40年間、育児相談の第一線で活躍し、多くの母親の悩みと向き合ってきた臨床心理士です。自身も2人の娘を育てあげた母親でもあります。

いわゆる「子育て本」の中には、「○○はダメ」「○○しなさい」「最近のお母さんは…」といったネガティブな内容が書かれていることもあり、「日々悩みながらも、一生懸命に子育てしているのに…」と、読んでいて苦しくなってくることがあります。

しかし、今回ご紹介する『6歳からのほめ方叱り方』にはこういった否定的な表現がほとんどなく、やさしい語り口で、安心して読み進めることができました。

また、理想論ではなく、実際の子育てに即した具体的かつシンプルなアドバイスが多く紹介されているので、読んだ後すぐに取り入れることができました。

叱る場面は3つだけ

著者によると、叱らなければならない場面は3つだけとのこと。それは、

  • 生命に関わるような危ないことをしたとき
  • 「大事なこと」に関するルールを破ったとき
  • 人に迷惑をかけるようなことをしたとき
植松紀子著「叱ってばかり…」の毎日が変わる!6歳までの子どものほめ方叱り方 株式会社すばる舎 2012 頁43

それぞれ詳しくみていきます。

生命に関わるような危ないことをしたとき

小さな内は何が危険なのか判断することが難しいので、その度に大人が注意してあげる必要があります。

但し、著者は「子どもたちはお母さんが心配するほどでもないことで叱られているケースが多いようにも感じます」とも述べています。

2歳頃にもなれば、子ども自身である程度の“危険予測”ができるようになるので、あえて見守ってあげることも必要とのこと。

「大事なこと」に関するルールを破ったとき

家庭でも、他人の家でも「大事なものを壊してはいけない」「大事な場所に踏み入ってはいけない」などのルールがあります。

子どもがルールを破ったら、しっかりと叱って分からせることが大切です。3歳くらいからは社会性がぐんぐん育っていくので、特に重要な時期だと言います。

人に迷惑を掛けるようなことをしたとき

お友達のものを勝手にとったり、スーパーの中を走り回って、棚にあるものをぐちゃぐちゃに乱したり、公共スペースで大声をあげて鬼ごっこを始めたり…。

程度にもよるとは思いますが、このような他人に迷惑をかけることも、しっかりと「ダメだよ!」と伝える必要があります。これも3歳くらいからが大切な時期だそうです。

逆に言えば、今あげた3つの場面以外では叱る必要はないということです。

いかに自分が今まで必要のないことで怒ってきたことか…読みながら反省です。

叱るべき基準を夫婦間で統一する

ここで「叱ること」に関しての注意点について触れておきたいと思います。

それは、予め夫婦間で「叱るべきこと」の基準点を明確にしておくことです。

「前は何も言われなかったのに、今回は叱られた」「お父さんはなにも言わなかったのに、お母さんには叱られた」

このように、その日の気分で「叱る基準」が変わってしまったり、夫婦間でズレがあったりすると子どもは混乱します。

特に、「生命に関わるような危ないこと」に関しては、意外に男女間で大きく感覚が異なるのだそうです。

高い木に子どもが登って、「危ない!その木から降りなさい」とお母さんが叱るような場面で、お父さんは「すごいな、よくやったぞ」なんて褒めたりするかもしれません。

「『大事なこと』に関するルール」や、「人に迷惑を掛けるようなこと」に関しても家庭や地域によって微妙に異なります。世代によっても違うかもしれませんね。

こういったことに関して、夫婦で良く話し合っておく必要があるそうです。

注意は瞬間技―「その場で」「短く」「感情を込めて」

ここまで読んでいただいて、叱るべき場面と、注意点については理解していただけたかと思います。

では、具体的にどのように叱ったらよいのでしょうか。基本は「その場で」「短く」「感情を込めて」です。

 たとえば子どもがベッドの上でお菓子を食べていたら、その場でキッパリ叱ること。現場を見たその瞬間に、「ここでお菓子を食べてはダメ!」と注意することです。「さっき、ここでお菓子を食べていた件だけど……」と過去に起きたことを叱っても、子どもはまったく聞く耳を持ちません。 そして、叱った後に「ベッドの上で食べてはいけない」という「叱る根拠」を短く伝えましょう。「ダメ」だけでは、子どもはなぜ叱られたのかを理解できないまま、驚いただけで終わってしまいます。

植松紀子著「叱ってばかり…」の毎日が変わる!6歳までの子どものほめ方叱り方 株式会社すばる舎 2012 頁84‐85

なんだか難しく考えていたけれど、これでいいんだ…とちょっと安心。

やはり、叱るというコミュニケーションにはパワーがあるので、しっかりと感情を込めることで子どもに伝わりやすくなるようです。

感情を込めると「大きな声で強い口調になってしまう」と気にする方がいるそうですが、そこはあまり神経質になることはなく、真剣さが伝わるかどうかが大切だと著者はいいます。

子どもが遊んでいる内に親を叩いてしまった場合、「お母さん、痛―い。」などとふざけた口調で返していると、子どもはそれが「いけないこと」だと理解できず「叩くとお母さんは遊んでくれる」と勘違いさせてしまいます。

こういった場合は、シンプルに「叩いたらダメ」と言った方が子どもには伝わりやすいそうです。

最後には愚痴のようになっていませんか?

さらに、著者はこのようなことも指摘します。

 お母さんは叱るたびにエネルギーを消耗するのに、ザルに水をそそぐように聞き流されてしまったら……、叱りがいがなくてやりきれなくなりますよね。 でも、大人が叱れば叱るほど、子どもにとってはそれが当たり前になってしまい、エネルギーを使って叱る意味がなくなってしまいます。叱られ続けていると、叱られることにも「免疫」ができ、特別なことだと受けとめなくなるからです。 

植松紀子著「叱ってばかり…」の毎日が変わる!6歳までの子どものほめ方叱り方 株式会社すばる舎 2012 頁86

気をつけたいのは、叱りながらいつの間にか「グチ」になっていないか、ということです。

思い当たるふしあり過ぎで苦笑いです。

「グチのようにくどくど言う」ことのデメリットは、子どもが怒られることに慣れてしまうだけでなく、グチが長すぎることで肝心の「なぜ、怒られたのか?」というポイントがあいまいになってしまうことです。

自戒も込めて、注意していきたいですね。

まとめ

親も人間ですので、本来は必要のない場面で怒ってしまうこともあると思います。

ですが、今回紹介した「叱るべき場面」や「叱り方」を頭の隅に置いておくだけでも、

「これは本当に叱るべきことなのか?」「単なるグチになっていないか?」

と自分に問いかけてみるきっかけになると思います。

“必要な場面だけピシッと叱って、くどくど言わずに切り替える”

というのは、簡単なようでいいて結構難しいですが、何事も一朝一夕にはいきませんから、少しずつできるようになっていきたいと思いました。

今回は、「叱り方」に絞って解説しました。

本書には、他にも「年齢や性別による適切な対処の仕方」や「発達」「褒め方」についてなど、タイトル以上に幅広い内容が書かれていてたいへん参考になりました

小さい子どもを育てている方には、ぜひ読んでいただきたい内容です。

今回の記事が少しでも日々の子育ての参考になれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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