ちきりん著『未来の働き方を考えよう』人生は2回生きられる【感想・解説】

本の紹介

今回は、ちきりん著『未来の働き方を考えよう 人生は2回、生きられる』をご紹介します。

変化の激しい現代。平均寿命は延び、私たちが働く期間も長くなっていく中で、今後のキャリアを真剣に考えて始めている方も多いのではないでしょうか。

『未来の働き方を考えよう』ではタイトルにある通り、「人生を2回、生きる」こと、具体的には

「40代の後半で働き方を選び直し、職業人生を〔前半〕と〔後半〕に分ける生き方」

をすすめています。

  • 現在の働き方に違和感がある。
  • 将来の働き方に不安がある。
  • 自分に合ったキャリアプランを模索している。

という方にぜひ手に取って欲しい一冊です。

それでは、詳しくみていきましょう。

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今こそ「働き方」を真剣に考える時

「あなたはいつまで働きますか?」

この問いにあなたならどう答えるでしょう?

「なんとなく、定年までかな」

と思ったかもしれませんが、これからは「いつまで働くか」という問題に、もっと真剣に向き合わざるを得なくなると言います。

その背景には、年金受給開始年齢の引き上げと、エンドレスにも思える雇用期間の延長があります。

70歳まで働かなくてはならない?

年金の受給開始年齢が、原則65歳に引き上げられました。※1

それに併せ、高年齢者雇用安定法の改正(2021年)では、希望者全員を65歳まで雇用することが義務付けられています。※2

これらの動きは著者に言わせると、“「年金財政が厳しいから、支給開始年齢を引き上げます。ついては、皆さんそれまで働き続けてください」”という話しだそうです。

さらに同法律では、65歳から70歳までの就業機会の確保も努力義務となりました。※2

将来的には、年金の受給開始年齢が70歳まで引き上げられ、その間働き続けなくてはいけなくなるかもしれないのです!

(というか、その可能性が濃厚です。)

※1:https://www.smbc.co.jp/kojin/money-viva/nenkin/0002/   ※2:https://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/qa/data/QA_44.html

今の働き方を続けられるか?

働き方改革によって改善が図られているとはいえ、日本では未だに長時間残業を強いられ、有給も100%取得できない人が多いです。

日本のこうした労働慣習は、55歳が定年であった高度経済成長期から基本的に大きく変わっていません。

(前略) 皆さんは、「70歳まで今と同じように働く自分」をリアルに想像できますか? 今の会社でずっと働けるとしたら、60歳から70歳の10年間、あなたはどの部署で、どんな仕事をしているのでしょう? その時の上司や部下の年齢は何歳なのでしょう?

ちきりん著『未来の働き方を考えよう 人生は2回、いきられる』株式会社 文藝春秋(2015年)※以下の引用はすべて本書より

日本の平均寿命は2023年時点で、男性で81.05年、女性で87.09年です。

70歳まで働くとなると、男性の場合、平均寿命まであと10年程度しか残されておらず、ほとんど働くだけで人生が終わってしまいます

しかも、雇う側も雇用年齢の延長に手放しに賛成しているわけではありません。

一般的に若手よりも給料が高く、新しい事を覚える柔軟性や意欲・健康状態などを考えると、若い人を優先して雇いたい企業が圧倒的多数です。

今までは、60歳で横並びに定年を迎えることが一般的だったかもしれません。

ですが、これからは私たち一人ひとりが「働き方」を真剣に考え、選択する時期にきているのです。

すでに始まっている働き方の変化

実際、従来型の働き方に疑問を持つ人も増えています

せっかく入った大企業をあっけなく辞めてしまう若者も目立ってきました。

今までは、金銭的な報酬が高く、安定している大企業に勤めることは正しい・合理的な選択でした。

しかし、現在では大企業に所属することで得られたメリットに陰りが見え始めています。

それに加え“大企業では手に入らない自由度や柔軟性” を重視する人が増えてきました。

また、圧倒的な需給ギャップがあり、再就職に困らない職種では、一定期間働くごとに、数か月から一年もの休みを挟む「間欠泉的なキャリア」を歩む人もいます。

はたまた、海外で働く人や、

“生きることにかかる費用を最小化することにより、人生において働かなければならない時間を最小化する”

というミニマムな生き方を選択する人も出てきています。

ちきりん提案:働き方は2回選べる!

世の中の変化は日々感じるし、新しい働き方を始めている若い人がいるのも分かる。

自分もこのままで大丈夫か?と思うけれど、具体的に何をすればいいのか分からない…。

そんな人の頭に浮かぶのは次のような選択肢ではないか?と著者はいいます。

  • 自分でリスクをとり、多大なエネルギーをかけて、勝ち組を目指して戦う道
  • 思い切って世の中の “あるべき論” からきっぱりと降りる道
  • 何も変えないという静観の道

「勝ち組を目指して戦う道」は文字通り厳しく、大きなストレスが掛かるため万人向きの選択肢とは言えません。

「“あるべき論”からきっぱり降りる道」は潔いですが、今まで人と違う道を一度も選んだことのない人にとっては、かなり勇気のいる選択です。

結果、大半の人が「何も変えないという静観の道」を歩むことになりますが、その先には大きな暗雲が垂れ込めています…。

まさに八方塞がり!

そこで著者は職業人生を、40代を境に前半と後半に分ける生き方をすすめます。

(前略) 私が提案したいのは、最初から「職業人生は二回ある」という発想をすることです。「みんな、一生の間にふたつの異なる働き方を選べるものだと考えようよ!」という勧めです。(中略) 具体的には、働く期間を20代から40代後半までの前期職業人生と、40代後半以降の後期職業人生に分けます。

ここでのポイントは、「職業人生は、2回選べる!」と最初から意識することです。

職業選びにかかわらず、入試でもゲームでも「一発勝負!」では無用に緊張してしまいますし、失敗したときのリスクが大きい分、無難で安全な道を選びたくなります。

ですが、最初からチャンスは2回あると思えば、気持ち的にもずいぶんラクですし、働くスタイルや職業選択が今までとは大きく異なってくる可能性があります。

ここで、なぜ40代なのか?が気になるところですが、その理由について著者は、「パッケージ旅行」と「自由旅行」を例に出しながら説明します。

40代では、オリジナルな働き方が選べる

例えば始めてパリを訪れる場合、行きたい場所は皆だいたい同じです。

エッフェル塔、凱旋門、セーヌ川クルーズにルーブル美術館…性格や趣味や価値観がまったく違う人でも、なぜか最初の旅行では、多くの人が同じようなコースを望ましいと感じます。

そのため、自分で下調べしなくても、見たいものを漏れなく見せてくれる「パッケージ旅行」を選ぶのが最適解です。

ですが、二度目のパリ旅行では、「できるだけ多くの美術館や博物館を回りたいと思う人」や「ミシュランガイドを元にレストラン巡りを計画する人」など、いろいろなバリエーションが出てきます。

それは、最初の旅行で一通り有名どころを巡ったことで、自分は何が好きで、反対に何に関心がないのか、しっかり把握できているからです。

さらに、移動方法の選択肢や、街で行動するときの注意点など多くのことをすでに学んでいるので、知らない街をひとりで歩く怖さもありません。

これと似たようなことが、人生や職業選択にも言えます。

 働き方だって、旅行や家と同じです。初めて選ぶ時には、必死に考え、眠れないほど悩んでも、結局みんな同じような仕事や会社を志望します。他人と違うものは選びにくいし、自分基準で選ぶだけの情報も持ち合わせていません。(中略) 最初の人生は、パッケージ旅行同様、就職する、フルタイムで働き始める、結婚する、子どもをもつ、家を買う、といった定番のライフイベントがコンパクトに組み合わされた「だいたいこんな感じ」のパッケージライフなのです。

最初の人生は、「だいたいこんな感じ」のパッケージライフ。言い得て妙ですね。(笑)

  旅行の例でわかるように、二度目の選択時には自分のやりたいこと、やりたくないことが明確です。学生時代には、大半の人が社会のことも、働くことの実態もよくわかっていません。でも20年も働けば、今の仕事を本当にあと20年も続けたいのか、稼げるお金の額が、自分の人生にとってどれほどの意味をもつのか、みんなしっかり理解できています。

今まで取ることのできなかったリスクが、どの程度のものなのかも感覚的に理解できるようになるため、異なる道を選ぶ勇気も出てくると言います。

だからこそ40代では、「パッケージライフ」ではない、オリジナルな人生を選べるようになるのです。

本気のワークライフバランスを実現

人生の中盤で働くスタイルを変更することができれば、「本気のワークライフバランス」を実現することもできます。

つまり、人生のどの時期に何を優先するのか(仕事、育児、介護、個人の趣味など)を自分の意思で決められるということです。

(前略) 人生の半分を東京、残り半分を故郷で働くとか、最初は一般企業、後半は非営利の団体で働く、もしくは、前半は仕事、後半は家族中心の生活など、自分の意思でそのバランスを決めていけるのが、あるべき姿です。このように、人生の途中で働き方をリセットし、自由に新たな人生設計ができれば、それが本当のライフワークバランスの実現につながるのです。

さらに大きなメリットとなるのが、「ゆるやかな引退」という選択が可能になること。

これまでの定年制度では40年以上猛烈に働いてきた人が、引退していきなり働かなくなる変化の大きすぎる引退でした。

本書に書かれていたことではありませんが、自分の役割や居場所を与えてくれた会社から、いきなり放り出されることで、精神的な不調をきたす人もいるくらいです。

そうではなく、働き盛りの間に自分スタイルの働き方に移行し、状況に合わせて調整しながら、無理なくゆっくり長く働き続ける方が自然ではないか?と著者は言います。

オリジナルな人生を手に入れられる人とは?

オリジナルな人生を生きよう!とは言われても「お金が不安」「自分には能力がない」と、ためらってしまう人が大半だと思います。

しかし、著者に曰くそれらはあまり関係がないそう。

では、なにが「なかなか動けない人」と「本当に踏み切ってしまう人」を分けるのでしょうか?

働いてきた環境の違いからくる「不安感の差」

新卒で日本的な終身雇用慣行が残っている企業に就職し、何十年もそこで働いている人にとっては、会社を辞めるというのは、ものすごく怖いことです。その一方、外資系企業や新興企業、中小企業、もしくは金融やウェブ、ソーシャルメディアなどの業界では、数年ごとに転職することも、今やまったく珍しいことではありません。そういう環境で働いていると、所属先の組織を辞めるのは(大事な決断ではありますが)恐れおののくようなことではありません。

つまり、一度も働き方を変えたことがないから、働き方を変えることが不安だということです。

多くの人が「死」を恐れるのは、「死」というものを経験したことがなく、周りにも「死」を体験談として語れる人がいないからだという理屈とよく似ています。

その結果、皮肉にも比較的年収が高くて貯金もある、安定企業に勤めている人の方が、解雇や失業、転職を怖がっているように見えるそうです。

支出をうまくコントロールできるかがカギ

人生の転換点では、お金に不安を持つのは当たり前ですが、たくさん収入があれば安心かというと、そう単純なものではありません。

収入が高くても、その分支出も多ければ、結局お金の不安は消えません。

オリジナルな人生を手に入れられるかどうかは “支出の多寡”にかかっています。

一億総中流社会では、皆がおなじように高収入を得ようとするだけでなく、同じような消費活動をしてきました。

三種の神器のような最新家電を揃え、自家用車と庭付き一戸建てを買い、子どもの教育に惜しげもなくお金をつぎ込んだのです。

ですが、すべての大きな買い物は“「この買い物をしなければ、自分は何年分、早く引退できるか」”に換算することができます。

自分にとって大切なことにはお金を使うべきですが、自分にとっては「どうでもいいこと」「周りがやっているから一応…」ということのためにつぎ込んできたお金は、「オリジナルな人生」を歩むための原資にもなり得るのです。

「好きなこと」がある人は強い

実は世の中には、ごくわずかな蓄えしかないのに、いとも簡単に会社を辞めてしまう人がいます。なぜそんなことができるのかというと、彼らには、「ものすごくやりたいこと」「それさえあれば他には何も要らない」ことがあるからです。

著者は、“「やりたいことがある・みつかる」”というのは、とても幸運なことだと言います。

しかも、やりたいことがみつかるかどうかは、能力や家庭環境とは無関係です。

「やりたいこと」は社会的に意義のあることや、周囲から賞賛されるようなことでなくても構いません。

 やりたいことのない人生を無駄だと言うつもりはありません。ただ私が言いたいのは、「自分がやりたいことが明確になれば、人生はものすごく楽になる」ということです。それが明確になれば、世間の常識に自分を合わせる必要がなくなります。より有名な会社に入るとか、より高い地位を目指すとか、よりよいお給料をもらうとかいうことに、ほとんど意味がなくなるのです。

自分が本当にやりたいこと・手に入れたい人生が明確に分かることが、自分のオリジナルな人生を始めるに当たって最も重要で、最初に必要なステップです。

おわりに

ちきりん著『未来の働き方を考えよう 人生は2回、生きられる』をご紹介しました。

今まで定年まで働くことが当たり前だと思っていた方も、「新たな選択肢」について考えてみるきっかけになったのでのではないでしょうか。

「人生は2回、生きられる」

考えるとワクワクしますし、自分らしく楽しい人生設計を考えるヒントとなる一冊です。

紹介しきれていない部分も多いため、興味を持っていただけた方はぜひ実際に本書を手にとってみて下さい。

この記事が何かお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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