今回は、小室淑恵 著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』をご紹介します。
この作品は、「段取り力」を身に着けて「負の残業スパイラル」から抜け出す方法を教えてくれる本です。
ワーク (仕事) を効率よく定時で終わらせ、 ライフ (生活) の時間で、さまざまな体験や自己研鑽をすることは、仕事のアイデアにもつながっていきます。
“朝から集中して仕事に取組み、短時間でもしっかり成果を上げて、定時に帰る。退社後はゆっくり読書をしたり、スポーツクラブに行ったり、ときには妻 (夫) や友人と待ち合わせて映画を観たりして、リフレッシュする。”
こんな理想的な毎日を送れたら、すごく素敵ですよね。
- 毎日残業してがんばっているのに、あまり成果がでない…
- スケジューリングが苦手で、締切りのある仕事がいつもギリギリ…
- なかなか仕事のいいアイデアが湧いてこない
とお悩みの方におすすめの一冊です。
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本書はこんな本
著者の小室淑恵さんは、(株) ライフ・ワークバランスの社長で、私生活では3歳の息子を育てる母親でもあります(※2010年時点)。
今、会社のホームページを見てみたら、
“企業し、約20年で3000社の企業の働き方改革をお手伝いしてまいりました”
と、その輝かしい実績が書かれていました。
さらには、文部科学省・経済産業省の審議会委員を務めるなど、現在も多方面で活躍されています。
本書は、2010年出版とビジネス書としてはやや年数の経った作品にはなりますが、今でも活きるノウハウが盛りだくさんです。
第1章では、「残業するのが当たり前の働き方が、なぜよくないか」がしっかりと説明されていて、その内容は大まかに次の通り。
- 社会全体が「働き方見直し」の流れになってきている
- 今後、多くの人が「子どもを持つこと」や「親の介護」で長時間労働ができない状況になる
- 残業ばかりでは、自分の中が枯渇し、仕事のアイデアが湧いてこない
- 残業しても作業効率が悪く、思ったより仕事が進まない
本書で語られていた、介護離職なども現実に多くなっており、限られた時間の中で成果を出す必要性は今まで以上に高まっています。
この記事では、「段取り力」を身につけ、生産性の高い仕事をするための具体的なノウハウを中心にご紹介していきたいと思います。
一週間のスケジューリングを見直す
「毎日残業というわけではないけれど、曜日によって、働き方にムラがある」という人も多いのではないでしょうか。 特に多いのが、月曜と金曜の働きムラです。(中略) その日のやることの優先順位を考えるのはもちろんですが、1週間のスケジュールもペース配分を決めておくといいでしょう。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
月曜日は休日明けで、なかなか仕事モードに切り替えられず、エンジンが掛からない。
逆に金曜日は「どうせ明日は休みだし」とあれもこれもと欲張ってしまう。
「今週までに提出します」と、安易に仕事の締め切りを「今週中」にしてしまったことで、残業するはめになってしまった…なんてことも。
こうならないためにも、一週間のスケジュールをしっかりと組み立てることが大事です。
著者は、スケジュール張とフセンを徹底活用する方法を紹介していました。
資料作成などの「自分だけで進める作業」は、会議やアポイントなどに比べ、どうしても後回しになりがちです。
あなたにも、最初はきちんとまとまった作業時間をとっていたのに、後からか入ってきた用事で消えてしまった…という経験はないでしょうか?
そこで役に立つのがフセンです。 フセンに「○○の資料作成」と書いて貼っておけば、会議やアポイントメントに上書きされて消えてしまうということがありません。もしその時間に予定が入ってきたら、別の日や別の時間に張り替えていけばいいのです。 ただし、必ず前へ前へと移動させていくことが原則です。(中略) 5日提出だけど、作業の時間は2日しかとれないんだな、ということがわかり、前もって進めておくことができるのです。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
フセンに「資料作成 2時間」と作業時間もあわせて書いておくといいそうです。
最近では、スケジュール管理をGoogleカレンダーなどで行っている方も多いと思いますが、ご紹介した方法はデジタルツール上でも応用できます。
また、著者はどうしても残業しがちだという方には “先に夕方からの予定を入れてしまう” こともすすめていました。
それも、簡単にはキャンセルできない用事がいいそうです。
習い事などは、行かないと受講料がまるまるムダになってしまうので「定時で終わらせなければ!」と気合いが入りそうですね。
仕事をする環境を見直す
まずは、仕事をする場所、デスク周りの環境について考えてみましょう。 必要な書類が見つからない……たった1枚の書類を何時間もかけて探した経験が、あなたにもあるのではないでしょうか。お客様の大切な書類をなくして、何日間も言い出せずに連絡をとれなくなってしまったりした経験はないでしょうか? (中略) 探し物で時間をムダにするのは、本当にバカらしいことです。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
スケジュールはしっかりと立てているのに、仕事が思うように進まない方は、「仕事をする環境」がそれを阻んでいないか考えてみるといいそうです。
仕事に取り掛かる上で必要になるツールや書類は、すぐに取り出して使えるように、整理整頓しておきます。
著者は「職場全体で物が多すぎる」という問題も指摘しています。
同じ案件を何人かで担当する場合は、みんなが同じ書類を各々持つことも多いですが、ときどき確認する程度であれば、1部とっておくだけで事足ります。
これは本書に書かれていたわけではないのですが、書類をスキャンしてデータ化しておけば、そもそも書類をとっておく必要すらないかもしれません。
不要なものを減らし、整理をして、快適な職場環境を作っていくことが、滞りなく仕事を進めていくことにもつながります。
一人一仕事をやめる
多くの会社で、効率化を妨げる原因になっている仕組みがあります。 それは、「一人にしかできない仕事」をたくさんつくっていることです。 A社の担当はこの人、B社の担当はこの人というふうに、「一つのクライアントを一人が担当する」システムだと、様々な弊害が生まれます。(中略) 一つの仕事は、複数の人で担当するシステムにすべきです。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
「自分だけしかわからない・できない仕事」が多いと休みにくくなりますし、異動や退職などで仕事を引き継ぐときにも大きな時間と労力が掛かります。
それを防ぐために、著者は“「マルチ担当制」”を提唱しています。
例えば、「A社との取引」という仕事があった場合、メイン担当をXさん、サブ担当をYさん、というふうに、メイン担当の他にサブ担当を作るのです。
また、別の仕事「B社との取引」では、メイン担当をYさん、サブ担当をZさん…というように、同じYさんが、A社ではメイン、B社ではサブという役割を担います。
こうすれば、誰かが急に仕事を休むことになったときも、お互いをフォローしやすくなります。
二人で担当することで、新たなやり方に気付けたり、ダブルチェックでミスを防げたりと副次的なメリットもありそうです。
「そう言われても、会社自体がこういう仕組みになっていないから、できないよ」
と思われた方も、個人としてこの考えを活かすことはできます。
次のマニュアルづくりにも通じていますが、自分が担当している「仕事内容」や「進捗状況」を他の人も分かるようにオープンにしていくことで、「自分だけしかわからない・できない仕事」を減らしていきます。
自分の仕事のマニュアルをつくる
残業しないために、自分の仕事のやり方を見直そう!と思うけれど、「何から手をつけていいのかわからない……」。そんな人もいるのではないでしょうか。 まず最初にやるべきことは、「自分の仕事のマニュアルをつくる」という作業です。自分のやっている仕事の内容を、一度すべて書き出してみるのです。 まずつくりたいのは、月間、年間通して頻度の低い作業のマニュアルです。 意外かもしれませんが、これをつくっておくと本当に便利なのです。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
頻度の低い仕事は、不慣れで時間がかかる上に、作業内容の一部を忘れていて
「あれ?これでよかったかな…?」
となりがちです。
私自身もこの方法を実践してからは、確実にミスが減りましたし、同僚から質問されても、マニュアルをみながら答えてあげることができるので、とても重宝しています。
併せて「頻度の高い仕事のマニュアル」を作っておけば、それがそのまま「引き継ぎ書」として機能します。
私の会社ではこのマニュアルを「誰でもできる化マニュアル」と呼んでいます。 その名のとおり、自分の仕事を突然誰かに振る必要に迫られたとき、その人が迷わずに仕事を引き継ぐことができるからです。異動になったり、急にフルで働けなくなったときにも、あわてることがありません。
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
「誰でもできる化マニュアル」は、「一人にしかできない仕事」をなくしていくための手段ですが、同時に自分の仕事にムダがないかチェックするためにも役立ちます。
一度で済ませるフォーマット
初めてお付き合いするお客様とのやりとりでよくあることですが、仕事に必要な情報を、1回目のやりとりのときに聞きもらしてしまうと、あとでまた追加で聞かなければいけなくなって手間が増えてしまいます。(中略) 「この項目さえ埋めれば、書類を提出できるのに……」と、イライラしたことはありませんか?
小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』株式会社PHP研究所(2010年)
この問題を解消するために、著者は「一度にすませるフォーマット」を提案します。
例えば、講演会を行う場合、
― 会場(場所/住所/電話番号)・当日の連絡先・講演料・交通手段(交通費・チケット送付の有無)・講演会場の設備(パソコン環境) ―
といった確認事項を一枚のフォーマットにまとめてメールし、項目を埋めてもらうように依頼します。
こうすれば、確認モレも防げますし、面倒なやりとりを繰り返す必要もありません。
もっと日常的なメールでやりとりするときなども、私なりに「一度に済ませるフォーマット」を応用して、
「次の3点についてご回答ください。 ➀~~、➁~~、③~~」
とするだけでも、相手がモレなく答えてくれる確立が高まります。
おわりに
今回は、小室淑恵著『ほんとうの豊かさを手に入れる 人生と仕事の段取り術』をご紹介しました。
私は、本書を新卒の頃に読みましたが、そのことは後の自分にとって多いにプラスになっています。
特に「上司の承認待ち」をしないための事前のアポイントや、「一度で済ませるフォーマット」を意識したメールは、仕事を始めた当初から意識するだけでできました。
さらに、子どもが産まれてから読み返すと「ワーキングマザーが仕事と子育てを両立するためのノウハウ」としても役に立ちました。
今回はご紹介しきれませんでしたが、
- 上司・同僚・後輩との上手なコニュニケーションで仕事を円滑に進める方法
- 私生活での段取り術
についても、たいへん参考になりました。
興味を持っていただけた方は、ぜひ実際に本書を手にとってみてください。
この記事が何かお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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