「働くママ」に読んでほしいおすすめ絵本 5選/あらすじ・解説

本の紹介

「私が仕事をしていることで、子どもに寂しい思いをさせているんじゃないか。」

「思うように仕事ができずに、自分だけ遅れをとっている気がする。」

「急な子どもの体調不良でお休みをとってしまって、メンバーに申し訳ない。」

「仕事も家事も育児も、全部が中途半端…」

このように感じたことはないでしょうか?

今回は、「働くママ」におすすめの絵本を5冊厳選してご紹介します。

絵本の中には大人だからこそ味わえる深みのある作品も多いもの。

ほんの少しの時間でも、絵本の世界に触れることで、今までと違った視点で現状を捉えることができます。

きっと今よりも肩の力が抜け、心が軽くなるはずです。

『よるくま』

男の子の夢の中を回想するようなファンタジーです。「よるくま」と一緒に、よるくまのお母さんを探しに行きます。

あらすじ

おやすみ前のベッドの中で、男の子がママと話しています。

“あのね きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこが きたんだよ。”

男の子のところに来たのは、「よるくま」というクマの子。目が覚めたらママがいなくて、探しにきたんだって。

男の子も一緒に、よるくまのお母さんを探しに行きますが、どこを探してもみつかりません。

「おかあさんは? おかあさんは?」と、ついに泣き出してしまう よるくま。

よるくま の涙で辺り一面がどんんどん真っ暗になっていく中、

「たすけて ながれぼし!」 急に流れ星が目の前に見えて…

おすすめポイント

小さな子どもを保育園に預けるとき、

「ママ、いかないでっ」

と子どもが泣き出してしまい、後ろ髪をひかれる思いで仕事に向かった経験はないでしょうか?

こんな時、「子どもに寂しい思いをさせている」と罪悪感を抱いてしまいますよね。

よるくま も、目覚めた時にお母さんがいなくて、とても不安で寂しい思いをします。

“こんなかわいいよるくまを おいて おかあさん どこにいったの。”

という作中の言葉は、自分自身のことを言われているようで、ドキッとしてしまいます。

でも、物語の後半に出てくる、よるくまのお母さんは申し訳なさそうな顔はしません。

お仕事(魚釣り)をがんばって、

“ほら ごらん こんなにつれた。“

と誇らしげですらあります。

そして、たくさん釣れたお魚を売って、そのお金で自転車を買ってあげると、よるくまに 言うのです。

よるくまのお母さんの堂々とした様子は、「ママが働くことは、子供をないがしろにることではない」というメッセージだと思います。

働きながら子育てをしている自分を肯定できる絵本です。

酒井駒子著『よるくま』偕成社(1999年)

『ヒルダさんと3びきのこざる』

ヒルダさんと暮らしているやんちゃな3びきの子ザルが、ある日突然いなくなってしまうお話です。

あらすじ

ヒルダさんが大切に飼っている3びきの子ザルは、とってもいたずらっ子。

お買い物で家を空けるたびに、家中をめちゃくちゃにしてしまいます。

ある日、ヒルダさんはついに爆発。

「ああ、もう いいかげんにして!」

ヒルダさんは おおきなこえを はりあげました。

「わたしの しずかなくらしを かえしてちょうだい。

こんな にくたらしい こざるなんて、

もう いらないわ!」

でも次の日、おとなしくお留守番することを念押しして出かけ、夜遅く帰ってくると…

3びきの子ザルがいません。

家中を探し回っても、どこにもいないのです。

ヒルダさんは目の前が真っ暗になりました。

涙がポロポロと頬を伝い、ハンカチで押さえても止まりません。

ハンカチでは足りないので、タオルをとろうと、戸棚を開けると…。

おすすめポイント

この本を読んだママの多くは、きっと3びきの子ザルを元気でやんちゃな子ども達、ママ自身をヒルダさんに重ねるでしょう。

子ども達の可愛いいたずらも、度を超すと堪忍袋の緒が切れて、声を荒げてしまうこともあると思います。

でも、この絵本のように、ある日急に子ザル (子ども達) がいなくなってしまったら、どうでしょうか?

あまり想像したくないことですが、ハンカチで拭いきれない涙をながしたヒルダさんのように、平常心ではいられないはずです。

作品を通して、「当たり前の日常が、当たり前でなくなること」を追体験する。

その上で、今、目の前で元気にしている子ども達を見ると「元気でいてくれるだけで、ありがとう」という気持ちになれる、そんな絵本です。

クェンティン・ブレイク 文 エマ・チチェスター・クラーク 絵 むらおか みえ訳『ヒルダさんと3びきのこざる』株式会社 徳間書店(2017年)

『あんなに あんなに』

あらすじ

あんなに欲しいと言ってたから買ってあげたのに、すぐに飽きて遊ばなくなっちゃう。

あんなにきれいに片づけたのに、もう散らかっている。

そんな、慌ただしくも愛おしい日常を繰り返し、気付いたときには…

あんなに小さかった息子も、もう大人。

自分もあんなに若かったのに、もうこんなに年をとってしまった。

楽しいことも、悲しいことも、たくさんあったのに、

あんなに あんなに あんなに いろいろ あったのに まだ たりない

おすすめポイント

「あんなに○○だったのに(過去)」→「もう こんな(今)」という対比が続きます。

前半は、クスッと笑えるような「子育てあるある」に心が和むのですが、後半は少し雰囲気が変わります。

かわいかった息子も思春期を迎え、部屋から出てこなくなり、やがて親元を離れていく。

私は、この絵本を読みながら、子どもが巣経つ時を想像して本当に泣きました(笑)。

子育てって、振り返るとあっという間なんだろうなと思います。

そして、自分の人生の中で意外と短い子供と過ごせる時間を、大切にしていきたいと思える絵本です。

ヨシタケシンスケ『あんなに あんなに』株式会社ポプラ社(2021年)

『世界はこんなに美しい』

初めてバイクで世界一周をした女性ジャーナリスト、アンヌ=フランス・ドートヴィルから着想を得た物語です。

あらすじ

“いろんな場所へ行ってみたい。世界じゅうを旅したい。”

未知の場所への憧れから、アンヌは1973年のある日。カワサキのバイクに跨って、一人世界への旅に出ます。

頭のなかで小さな声がします― ひとりで世界をまわるなんて危険だわ。

ネコに会えなくなるし、お気に入りの服を着られないし、モーツァルトも聞けない。

ほかの声もします― しずかに。道の声を聞いて。

すると、道がアンヌにつげました ― 行きなさい。

パリから、カナダ・アラスカ・日本・インド・パキスタン…3大陸を移動した距離は、なんと2万キロメートル以上。

道中では、バイクが故障して走しれなくなるなど、困難にも見舞われました。

でも、人々は心優しく、親切で、美しい風景にも心が癒されました。

“世界は美しくあってほしい。そして、世界は美しかった。”

おすすめポイント

私たちには、妻・母・社会人…といった様々な役割があり、日々その役割を果たすために頑張っています。

でも、そうした役割以前に、私たちは一人の女性であり、一人の人間であるはずです。

女性がバイクで一人旅する姿がめずらしかった時代、「自分自身の内なる声」に従って、それにチャレンジしたアンヌの姿をみると、

「あなたが心から望むことは何?」

「本当にやりたいことは何?」

と問われている気分になります。

叶えたい夢、内に秘めた野心、チャレンジを肯定し、背中を押されるような絵本です。

とても美しくオシャレな絵は、眺めているだけでうっとりします。

まさに、大人の女性に向けた絵本といえるのではないでしょうか。

エイミー・ノヴェスキー 文 ジュリー・モースタッド 絵 横山和江 訳『世界はこんなに美しい』工学図書(2022年)

『どうしてパパとけっこんしたの?』

どうぶつの子ども達が、それぞれのお母さんに「どうしてパパとけっこんしたの?」と尋ねていくお話です。

あらすじ

ペンギンのこどもが ママに ききました。

ねぇ、どうして パパと けっこんしたの?

パパがくれた こいしが すてきだったからよ。

どうぶつの子ども達が、それぞれのママに「どうして パパと けっこんしたの?」と尋ねていきます。

ママ達の答えはそれぞれ。

一番最後のシーン、

タヌキのこどもが ききました。

ねえ、 ママ。どうして パパと けっこんしたの?

えっ、そんなの パパに きいてよ。

ねぇ、パパ。どうして ママと けっこんしたの? ― (続く) 

おすすめポイント

子育ては一人ではできません。

保育園や学校の先生方、自分の両親 (義父母)やシッターさんなど、多くの人の協力を得て、なんとか成り立っています。

その中でも特に重要なのが、パートナーであるパパの存在ではないでしょうか?

「家事分担が不公平」

「なんで私ばっかり…」

など、不満もたくさんあると思います。

「ねえ、ママ。どうして パパと けっこんしたの?」

とういう絵本からの問いかけに、

「あれ?なんでだっけ?」と思ったママもいるかもしれません(笑)。

ですが、タヌキのパパの答えをきけば、

「あぁ、そうだ、そうだった。」

と思えるはず。

生涯を添い遂げることを約束したあの時を思い出す、いいきっかけになる絵本です。

桃戸栗子『どうして パパと けっこんしたの?どうぶつたち それぞれのこたえ』株式会社福音館書店(2022年)

おわりに

今回は、「働くママ」に読んでほしいおすすめ絵本を5冊ご紹介しました。

それぞれ異なった切り口で選んでみましたので、ご自分の心境にあった作品を試していただけたらと思います。

冒頭でも書きましたが、絵本は奥が深く、大人だからこそ作品の魅力や本質をより理解できることも多いです。

興味をもっていただけたら、今回したご紹介した絵本をぜひ手に取ってみてください。

この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

【今回ご紹介した5冊】

プロフィール
ひなた

・1989年生まれ
・2児(5才・7才)を育てるワーママ
・本が大好き 
 年間読書量:90冊
 ※Audibleでの【耳読書】含む

このブログでは、子育てや仕事、生き方に迷ったとき私を支え、活力となってくれた本をたくさんご紹介していきます。

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