おとおさん おかあさん おじいさん おばあさん
そして きょうだい 10ぴき。
ぼくらは みんなで 14ひき かぞく。
今回は、いわむらかずお さく『14ひきのぴくにっく』をご紹介します。
暖かな春、ねずみの14ひきかぞくは花や昆虫、鳥たちでにぎやかになった野山に「ぴくにっく」に出かけます。
14ひきかぞくと一緒に、春の野原を散策している気分になる、ほっこりとした魅力にあふれる絵本です。
この記事では、『14ひきのぴくにっく』の基本情報に加え、内容紹介とおすすめポイント、「14匹のシリーズ」の魅力についても書いていきます。
基本情報
- 作者 :いわむらかずお
- 対象年齢:3~5歳
- ページ数:32頁
- 初版出版:1986年11月15日
- 出版社 :童心社
『14ひきのぴくにっく』のあらすじ
よく晴れた春の日、14ひきかぞくは、手作りのお弁当を持って野原に出かけます。
もりは花ざかり、やまぶき、ちごゆり、ふでりんどう…。
次々とかわいらしい花をみつけます。
生き物たちも、温かな春の陽気になんだかうれしそう。
小さな発見とともに、かぞくみんなで春の「ぴくにっく」を楽しみます。
『14ひきのぴくにっく』のおすすめポイント
『14ひきのぴくにっく』のおすすめポイントを、次の3つにまとめてご紹介します。
- 細かく描かれた美しい自然に癒される
- キャラクターが際立ったきょうだい達がかわいい
- 絵さがしとして、小さいうちから楽しめる
それぞれ詳しく見ていきます。
細かく描かれた美しい自然に癒される
一番の魅力は、作品を通して「春」という季節を存分に味わえることです。
背景の植物や生き物は、まるで図鑑のように細かく描き込まれています。
「これ何?…『ほとけのざ』だって。」
「たくさんタンポポ咲いてるね。」
「ひきがえる、でかっ!」
と、子ども達は14ひきかぞくと一緒に野原を散策しているかのように、たくさんの小さな発見をしていました。
裏表紙に、植物のスケッチと名前が書かれているので、作中の絵と照らし合わせながら、植物の名前を知ることもできます。
木々の間にやさしい太陽の光が差し込み、風に乗ってタンポポの綿毛がふわっと飛んでいく描写からも、気持ちよさそうな春の陽気を感じることができます。
自分一人で画集のような感じで眺めていることもあり、その世界観に癒されています。
キャラクターが際立ったきょうだい達がかわいい
10ひきのきょうだいには、それぞれ性格や特徴があります。
長男の「いっくん (1)」はしっかりもの。お父さんのお仕事を手伝うことも多いです。
末っ子の「とっくん (10)」はおじいちゃんっこ。『14ひきのぴくにっく』の中でも、おじいちゃんと手を繋いで歩いている場面がたくさんあります。
「くんちゃん (9)」は、寝るときも、お出かけのときも、いつでもお人形 (ねずみのぬいぐるみ) と一緒です。
作品を読みながら、
「この子は、こんな性格なのかな…」
と想像するもの楽しいです。
『14ひきのぴくにっく』で特にかわいいらしいのは「ろっくん (6)」。
とのさまがえるが小川を ぴょーん と飛び越えたのを見たきょうだい達は、次々に小川を飛び越え、ジャンプ!
「にっくん (2)」「ごうくん (5)」「はっくん (8)」…
そして、「ろっくん (6)」も挑みますが、
“じゃぼーん!”
ひとりだけ小川に落ちてしまいます。
頑張ってチャレンジしたけれど、ちょっぴりどんくさいところがかわいらしいです。
弟の「はっくん (8)」が先に飛び越えたのを見て、「負けられない」とでも思ったのかな?
絵さがしとして、小さいうちから楽しめる
文も少なめ、すべてひらがなで書かれていているので、小さい内から楽しめる作品ではありますが、
- お話を聴くことを好まない子
- 対象年齢より小さな子 (3才になる前)
であっても「絵さがしの本」として楽しむことができると思います。
先にも書いたように、背景がかなり細かく描き込まれているので、
「てんとうむし、どーこだ?」
と私が訪ねると、子ども達は一生懸命になっててんとうむしを探してくれました。
本当にちっちゃく描かれているので、なかなか見つけられずに苦戦するものまた、楽しい思い出になると思います。
14ひきシリーズの魅力
※以降の記事は「おやすみ前に読みたい絵本『14ひきのこもりうた』感想・おすすめポイント」と一部同様の内容を記載しています。
『14ひきのひっこし』『14ひきのあさごはん』が2冊同時に出版され、シリーズがスタートしたのは1983年。
発行から40年以上が経っていますが、その魅力は褪せることなく、今でも大型本屋さんに並ぶ超ロングセラーです。
作者は、童心社のホームページの中で、
“「雑木林の中の家族の情景」それが自分にとっての「原風景」”
と語っているとおり、『14ひきシリーズ』を読むと、「自然の中で家族と一緒に慎ましく暮らす幸せ」「自然の恵みに感謝しながら生きることの大切さ」などが伝わってきます。
「14ひきシリーズ」の魅力を、次の2点にまとめてご紹介します。
- 春夏秋冬、四季の変化や季節の行事を感じられる
- お話を補足してくれる、細かく描きこまれた絵
春夏秋冬、四季の変化や季節の行事を感じられる
『14ひきのせんたく』では、夏の晴れた日に川へ洗濯へ行き、みんなで川遊びをします。
秋には『14ひきのおつきみ』。かぞくみんなで木の上に作ったお月見台に登って、真ん丸に輝くお月様にお団子を供え「たくさんの みのりを ありがとう」と伝えます。
『14ひきのもちつき』では、もち米を蒸かして、杵と臼をつかって昔ながらの餅つき。鏡餅もこしらえて、お正月を迎える準備をします。
春夏秋冬、移ろいゆく自然と「その季節ならではの遊びや行事」が描かれているので、絵本の中で日本の四季を深く味わえます。
お話を補足する細かく描かれた絵
絵が美しいだけでなく、ストーリーを補足するように描かれているのも特長です。
例えば、今回ご紹介した『14ひきのぴくにっく』でのワンシーンを見てみます。
勢いよく小川を飛び越えようとした「ろっくん (6)」が、小川に落ちてずぶ濡れになってしまう場面。
次のページでは「ろっくん (6)」がパンツ一枚になり、濡れた衣服を木の棒に掛けて乾かしてもらっています。
「文」では書かれていないけれど、「絵」でそのシーンがより詳しく、細かく表現されているんです。
一般的な絵本と違い、「文」がページ下の白い部分に書かれていて「絵」を邪魔していないのも、作者のこだわりなのかな、と思ったりもします。
おわりに
いわむらかずお さく『14ひきのぴくにっく』をご紹介しました。
春になると必ず読みたくなる、私自身も子ども達も大好きな絵本です。
この記事では「14ひきシリーズ」の魅力もあわせてお伝えしました。
かなり高い確率で、みなさんの街の図書館にもあると思うので、お時間のある方は探して試してみてください。
もし気に入ったらシリーズで購入するのもおすすめです。プレゼントとして贈っても喜ばれると思います。
この記事が何か少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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