今回は、竹内和雄著『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』という本をご紹介します。
- 子どもにスマホを持たせようか迷っている…
- 実際にスマホを与えたはいいけれど「子どもがスマホばかり触っている」「トラブルに巻き込まれないか心配」
という方にオススメの一冊です。
本書は上記のような親御さんのリアルなお悩みに、Q&A 形式で分かりやすく答えてくれます。
著者の竹内和雄さんは20年間中学校に勤務後、ある事件をきっかけにネット問題に携わり、現在はスマホやネットに関する数多くの講演会を行っていらっしゃいます。
この記事では「スマホのルールづくりのポイント」と「簡単で効果的な具体策」について解説していきたいと思います。
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本書の基本スタンス
「スマホやネットを自由に使わせ、失敗から学ばせろ」、つまり100パーセント自由派には断固反対です。子どもは自転車に初めて乗るときに、転んだり、倒れたりして痛い思いをして覚えながら次第に乗りこなしますが、「ネット依存」「自画撮り被害」「誹謗中傷」「ネットいじめ」などのネットでの失敗は子どもの一生を左右します。…(中略)…逆に「スマホやネットは危険だから大人になるまで使わせない」、つまり絶対ダメ派も無責任です。今の時代にスマホやネットを使いこなせないことは大きなハンデです。
竹内和雄著『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』株式会社時事通信社(2022)
著者は、これからの時代、“ネットやスマホを「品格を持って」「正しく怖がり賢く使う」” 姿勢が求められるといいます。
また、日々保護者の相談に乗り、全国のPTA活動を支援する中で“「子どものスマホ問題は、親の方針、考え方でずいぶん変わる」”ことに気づいたそうです。
スマホやネットでのトラブルは起ってしまった時点でもう手遅れということが少なからずあります。
だからこそ未然防止、家庭でのルール作りがとても重要になってくるのです。
スマホのルールづくりのポイント
スマホのルールをつくる際にはいくつかポイントがあり、
- 話し合いによって決める
- 「時間」「場所」「マナー」等に関するルールを決める
- ルールを破ったときのペナルティーを決める
ことが基本です。詳しくみていきます。
話し合いによって決める
子どもと話しあってルールをつくる
「小・中学生では、親子で話し合って作ったルールがある場合、ネット依存になる割合が低い」というデータ(アンケート調査)が紹介されています。
また、小~高校生全般で「話し合って決められたルールは破られにくい」というデータも示されています。
一方的に親に押し付けられたルールより、話し合って決めたルールの方が、子ども自身も「守ろう」と努力するようです。
話し合いのベストタイミングは購入前・購入時
購入前・購入時に「子どものネットへの向き合い方」はほぼ決まってしまうといいます。
子どもが実際にスマホを使い始めてしまう前に、しっかりと「どう使うか」を話し合うことが大切です。
子どもがしっかりと話し合いに向き合っていないと感じたら「じゃあ今は買わない」と毅然とした態度をとってもいいと言います。
それくらい「タイミング」が重要だということですね。
最初は厳しめのルールを
使用時間と使い方について、最初は厳しめの取り決めをしておきます。
厳しいルールを緩めることは簡単ですが、逆はとても難しいからです。
子どもが納得しやすいルールの決め方
先にお伝えした通り、親が一方的にルールを押し付けることはよくありませんが、「落としどころ」は決めておくといいそうです。
最初は「スマホは夜8時まで」などと、あえてかなり厳しルールを提示した上で、
「それだと早すぎる!」「せめて9時までにして!」
と頼み込んでくる子どもに「じゃぁ、あなたを信じて夜9時までね」と譲歩したふりをしてみせるのです。
「夜9時まで」というルールを最初から親が決めているけど、子どもとしては「話し合った」感じがするということです。
交渉などでよく使われるテクニックを家庭生活にも応用した感じですね。
「時間」「場所」「マナー」等に関するルールを決める
「時間」「場所」「マナー」「危険」「お金」「相談」に関するルールを決めます。
時間
「夜9時まで」と終了時間を決める方法と「1日1時間以内」のように合計利用時間を決める方法があります。
子どもはけっこう忙しいので、「休日は1時間半まで」「塾のある水曜日は9時半まで」といった具合に曜日やスケジュールに合わせて細かく決めるとうまくいくそうです。
場所
スマホを使う場所に関しては、「リビングだけ」などと使う場所を限定する場合と、「自室には持ち込まない」と使用しない場所を決める場合があります。
著者は、
”布団の中まで持っていくかどうかで、お子さんの睡眠時間は大きく変わります。”
と述べています。子どもの睡眠時間をしっかりと確保するためにも、夜布団でスマホに触れないようなルールを作りたいものです。
マナー
「人が嫌がることを書かない」といった道徳的に気を付けることはもちろん、「家族で食事している時には使わない」といった家族間でのルールについても決めておきます。
危険
「ネットで知り合った人と会わない」など出会いの危険性に関するルールと、「個人情報を書き込まない」「人に見られて困ることは載せない」などの投稿についてのルールを決めます。
最近の中高生は好みが多様化しており、周りに趣味の合う人がおらず、ネット上で「共通の趣味がある人」とやりとりすることがあるそうです。
こういった出会いが「良くない」と一括りにはできないものの、「一人でネット上で知り合った人に会いに行く」という状況だけは避けられるよう、親子でルールを話し合いたいですね。
お金
最近ではオンライゲームの中で課金を促すものが多いです。
しかも、コンビニでプリペードカードを購入することでも課金できるため、親が知らない内に多額のお金をつぎ込んでしまう…なんてことも。
ネット上での売り買い (通販やメルカリ) や、送金なども簡単にできるようになっているため、これらに関して「課金禁止」「課金は月いくらまで」「ネットで買い物をしたいときには相談する」などのルールを決めておくとよいです。
相談
「困ったことがあったら相談する」を徹底させます。
本書の事例をみていると、重大なトラブルも事前に親に相談できていれば、未然に防げたのではないかと思わされます。
自戒もこめて「困った時には頼れる親」でありたいものです。
ルールを破ったときのペナルティーを決める
スマホのルールがうまくいかない理由で最も多いのは、「なし崩し」で終わってしまうことだそうです。
ルールを破ったときのペナルティーを決めておくことで、なんとなくなぁなぁになってしまうことを防げます。
ペナルティーを決める時には、ルールを破ったら「翌日は1時間減らして夜8時まで」など具体的に決めることがポイントです。
「今日だけ許してあげる」などと特別な理由もないのに許してあげることが、子供に「前例」を与えてしまい
「この前はいいって言ったじゃん。」
となりがちなため、親もルールを守り、厳しく対処します。
簡単で効果的な具体策:フィルタリング
スマホをめぐる諸問題でも特に重大なのが、
「夜中までスマホを触っていることで睡眠時間が減ってしまう」
という子どもの健康に関するものです。大人でもスマホの誘惑に勝つのは難しいため、子どもにスマホを与えっぱなしにするのはかなり危険です。
「夜9時まで」「平日は1時間」などのルールを決めて守らせることはとても大切ですが、それと併用する形で、強制的に使用時間をコントロールするフィルタリングを利用することがお勧めです。
フィルタリングの主な機能は「危険なサイトをブロックすること」と「時間制限」です。
“時間になったら使えなくなることが、私は究極の依存症対策だと思っています。”
と著者が述べている通り、シンプルですがその効果は大きいのだそう。
細かな設定も可能で、曜日ごとに利用できる時間を変えたり、学齢や家庭の事情に合わせて一部のSNSだけ利用できるようにしたりと、使い勝手もよくなっています。
大手3社では「あんしんフィルター」が無料で使えます。
ただし、iPhoneの場合はフィルタリングで「時間制限」ができないため、本体機能の「スクリーンタイム」を設定する必要があるそうです。
まとめ
今回は、竹内和雄著『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』をご紹介しました。
私自身は子どもが保育園児と小学生なので、本書を書店で目にしたとき、
「こどもスマホルール…うちにはまだちょっと早いかな」
と思ったのですが、最近では小学生でスマホを持っている子も珍しくなくなりましたし、スマホを持たせる前に「陥りやすい落とし穴」や「ルール作りの大枠」について学べたことはとても良かったです。
興味を持っていただけた方は、ぜひ実際に本書を手にとってみてください。
この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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