今回は、一田憲子著『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』という本をご紹介します。
この作品は、著者が8人のかあさん達の「暮らし」を取材し、豊富な写真と共に紹介している本です。
「マネジメント」というビジネス書でよくみかける言葉が「かあさん」「暮らし」という、どことなく “ほっこり” した言葉と共に並んでいるを見て、最初は少し違和感を覚えました。
ですが、限られた時間の中で仕事・家事・子育てを滞りなくこなすためには「何を大切にしたいか」を分析して優先順位をつけ、一日の中に組み込んでいかなければなりません。
これは、まさに「マネジメント」ですよね。
一見なんら関係ないと思われる方法・考え方で、現実の生活と向き合って工夫を重ねていく姿には、かあさん達の力強さを感じます。
この記事では、私が特に心を動かされた3人の働くお母さんの「暮らしマネジメント」をご紹介していきます。
【忙しいあなたへ プロのナレーターによる本の朗読アプリ 「Audible」もおすすめ】
※無料体験中でも解約できます
モノを減らせば脳みそのキャパは増える(保手濱歌織さん)
掲載されているリビングの写真には、ダイニングテーブルと椅子、ローテーブル、カーペットがあるのみ。
小さな子どもが3人いるとは思えない、すっきりとしたお部屋に驚きます。
本当に必要なモノは何?と暮らしを見直していった結果、子どものおもちゃは棚に入る量だけ、服もワンシーズンに着るものは数える程度、食器も吊戸棚に入る量だけ…
といった具合に家の中のモノの数はかなり少なく抑えられています。
「脳みそのキャパと、ものの量は比例すると思うんです」と保手濱さん。つまり、ものが少なくて、部屋が整理整頓されていると、頭の中もきちんと整理され、「脳みその余白」をきちんと使っていろんなことを考えられるというわけ。(中略)一見まったく関係ないと思われる方法が、現実をひっくり返す力を持っている……。保手濱さんの場合、それが「ものを減らせば、家事や育児がラクになる」という方程式でした。
一田憲子『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』SBクリエイティブ株式会社 (2017)
モノの数を減らして、それらを管理したり、手入れしたりする手間や時間を最小限にするというのは「ミニマリスト」をテーマにした本ではよく書かれていることです。
ですが、子どもがいるとなかなか実践するのが難しい。放っておくとどんどんモノが増えてしまいます。
ここまで潔くモノの数を減らすことができるのは、保手濱さんの中に明確な「軸」があるからです。それは「今」という時間。
もの選びの基準がしっかりしているから、将来使うかもしれないモノは持たない。
徹底的にムダをそぎ落とすことで「今」という時間に集中するのは、合理的でかつ豊かな生活を実現するためのマネジメントだと感じました。
朝、自分の心と身体に耳を傾ける (藤田ゆみさん)
藤田さんの一日は早朝から始まります。
窓を開けて空気を入れ替え、ぐらぐらと沸かした白湯をゆっくりと飲んでから「クラウンディング」に取り掛かり、自身の心と身体に耳を傾けていきます。
働くお母さんのためのワークショップや、安全な食べ物・自然素材の衣類などを紹介する「くらすこと」を主宰する藤田さん。
その他、ネットショップ、実店舗の運営、さらには「こども園」開園の準備など…
身体がいくつあるのだろうと思われる程、いろいろなことを手掛けています。
それでも、食卓には野菜中心の手作り料理が並び、子ども達の話しにもしっかりと耳を傾けます。
写真の中の、お子さんをぎゅっと抱きしめている藤田さんは本当に幸せそう。
超多忙ながらもどこかスローな雰囲気で、心に余裕を持って子ども達に接することができるのは、「朝に自分を整える習慣」の賜物であるようです。
「ありのままの自分でいられることが大切かなあと思います。(中略)とにもかくにも、朝のはじまりに自分を整えることを大事にしていますね。そこをやらないと、4人の子供たちにも余裕を持って接することができないし。多くの仕事をブレることなくこなすためには、たとえイヤなことがあったとしても、引きずらず、クリアでニュートラルな状態に自分を戻すことが重要なので」
一田憲子『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』SBクリエイティブ株式会社 (2017)
「その状況を幸せに思えるかどうかは、自分の心持ち次第」といった意味の言葉をきいたことがあります。
同じ状況に置かれても、心の状態次第で捉え方はまったく違ってくるものです。
藤田さんは、意識的に自分を「余裕のある精神状態に持っていく」ことで、人生に多くの幸せを見出しているのだと思いました。
私は私。あなたはあなた。(石渡深里さん)
「やれる人がやればいい」というのが、石渡家のルール。
朝7時、朝が苦手な石渡さんがまだベッドにいる頃、夫と2人の子ども達だけで朝食が始まります。
料理に興味を持った娘さんが「これを作ってみたい」と言えば「はい、どうぞ。」とほぼお任せ、余計な口出しもしません。
「私のもともとの性格もあるのかもしれませんが、私は私、あなたはあなた、とうい考えが根本にあるんです。それは夫に対しても、子供に対しても同じです」。 妻だからこれをやらなくちゃ。母だからこうしなくちゃ。そう考えるから、無理をして役割を演じ、「自分」が苦しくなります。「子供だから」とできることを制限すると、可能性まで小さくしぼんでしまいます。夫と妻、母と子。その関係性以前に、人と人の基本の立ち位置は「私とあなた」であるはず。
一田憲子『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』SBクリエイティブ株式会社 (2017)
とても潔いですが、最初からこのような考え方ができたわけではないと言います。
一人目のお子さんが産まれた頃は、夫の帰りも遅く育児をほぼ一人でこなし、実のお母さんからの「子育てプレッシャー」にも息苦しい思いをしました。
しかし、周りのお母さんの自由な子育てをみて「これでいいんだ」と吹っ切れます。
「職業人として」「妻として」「母として」…社会で生きていると様々な役割を求められます。
外からの「こうあるべき」を重視しすぎると、段々と「外からみた自分」と「本当の自分」に誤差が生まれ、自分のやりたいことさえみえなくなってしまう…。
「私は私」「あなたはあなた」この視点があると、自分や相手の可能性を摘んでしまうこともないですし、なによりいい意味でラクに生きていけそうです。
まとめ
今回は、一田憲子著『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』をご紹介しました。
紹介されているアイデアや考え方が、日々の生活に役立つのはもとろんのこと、「工夫しながらイキイキと子育てと仕事を楽しんでいる」先輩お母さんの姿に勇気づけられます。
仕事と家事、子育てのバランスが崩れて「いったん足を止めて立て直したい」と思った時、その助けになってくれる本だと思います。
興味を持っていただけた方はぜひ本書を実際に手に取ってみてください。
この記事が何か少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
コメント