池田きぬ著『死ぬまで、働く。』97歳・現役看護師に学ぶ生き方

本の紹介

今回は、池田きぬさんが書かれた『死ぬまで、働く。』をご紹介します。

池田さんは、本書が発刊された2021年時点で、97歳ながらも現役の看護師として活躍されているスーパーおばあちゃんです。

「死ぬまで働かなければならない」と言われたら、大半の人がネガティブなイメージを持つと思いますが、池田さんは自ら望んで97歳まで働くことを選び、 “生涯現役” をという姿勢を貫いています。

どうしたらそんな働き方、生き方ができるのか?

本書は次のような方にお勧めです。

  • 最近、働く意義が分からなくなってきている。
  • なるべく長く働きたいと思っているものの、自信がない。
  • 実際に97歳まで働くのがどういうことなのか?興味がある。

この記事では、著者である池田きぬさんの経歴をみた上で、特に心に残った部分を抜粋してご紹介したいと思います。

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著者の「池田きぬ さん」とは?

最初に、池田きぬさんが歩んできた97年を簡単にご紹介したいと思います。

池田さんは1924年、三重県一志郡大井村 (現在の津市一志町) に生まれます。

父親が早くに亡くなったこともあり、養蚕で生計を立てている母親を、幼いことからよく手伝っていたそうで、働くことは日常の一部だったようです。

1941年(17歳のとき)に太平洋戦争が開戦。同年に、赤十字の看護学校に進学します。

看護学校を卒業してからは、湯河原の療養所に看護要員として召集され、終戦を迎えるまでの2年近く、傷病兵の看護や食事介助、手術の助手などを務めました。

終戦後、地元の赤十字病院に戻ってから保健婦 (現在、保健師) の資格を取得。

1947年に23歳で結婚して一時仕事を離れますが、長男を出産後、再び保健婦として働き始めます。

それからは中部電力に約10年、県立の精神科の病院に、副総婦長として定年まで勤め上げます。さらにその後、複数の病院で総婦長として活躍。

60代・70代でもバリバリ働き続けます。

いちしの里で働き始めのは、なんと88歳から!

現在は、前日から泊まり込み、早朝から12時までの約6時間半のシフトで、週に1~2回勤務しているそです。

『死ぬまで、働く。』見習いたい姿勢 

若い世代に対する考え方

 子育てをしている人は子どもが優先になりますので、どうしても朝早くや夕方、土曜日曜などは働けません。子どもが熱を出すこともあるし、保育園や学校の行事もあります。だから私は、そういう人たちの穴埋めの時間に働こうと思っています。(中略)  今の主役は若い人ですから。私はたしかに長年この仕事をしてきたし、婦長など人の上に立つ立場も経験してきました。でも、今は一兵卒にすぎないし、むしろみなさんに迷惑をかけてしまう年齢です。 若い人たちのサポートに回るのが自分の役割だと思っています。

池田きぬ著『死ぬまで、働く。』株式会社すばる舎(2021年)※以下、引用はすべて本書より

生まれた時代が違うと、価値観や考え方が合わず、ともすると「まったく、最近の若いもんは…」となりがちです。

でも、池田さんはそうした世代間の違いを否定的にみることはありません

定時でピタッと帰る若い職員に違和感を覚えた時にも「きっと子供に一刻も早く会いたいんだろうな」と想像力を働かせます。

その上で、子育て世代が勤務しにくい時間帯のシフトに積極的に入ることで、若い世代をサポートしようとされています。

若い職員に、自分の経験を押し付けるようなこともしません。

ですが、勤務態度は毅然としていて、休憩時間以外に無駄話はせず、何かしら手を動かすようにしています。

若い世代のことを思いつつも、不要な説教はせず、行動でプロとしての見本を示そうとされている姿には、学ぶ部分が多いと思います。

「年齢」を言い訳にして甘えない

 私もみなさんのようにキビキビ動けたらいいですが、なかなかそうもいかない。でも、年寄りだからと甘えてはあかんですね。年齢を言い訳にしたらいけない。仕事をする限りはきちんとやりきらないと。「年をとっているからあかんな」と思われても、しゃくやし (笑)。

仕事をするからには「しっかり働かないと」という気持ちが強い池田さん。心がけていることは「ミスをしないこと」だそうです。

そこに「もう年だから」とい甘えは一切ありません。

20年前に夫を亡くして以来、一人暮らしをしていますが、日々の家事はもちろん、庭の手入れ、町内会のゴミ当番などもしっかりこなします。

加齢に伴って疲れやすくなっているので、どうしても気力が湧かない時には、後回しにすることはありますが、それでも「自分でできることは自分で」という基本姿勢は崩しません。

手放す覚悟もできている

 仕事ばかりの仕事人間ですが、本当は「もうそろそろ辞めなきゃあかんかな」と、ずっと思っているんです。仕事をする限りはきちんとやりたいので、足手まといになったら、辞める覚悟でいます。(中略) 退職願は、もう2~3回書きました。そのたびに、社長さんや橋口さんには、「また池田さんが書いてきた」と笑われますが、私は、いつでもその覚悟はできています。

仕事を生きがいとしながらも、決してそれに縋っているわけではありません。

「看護師は、半日は職場にいないと仕事にならない」との考えから、半日勤務が難しくなったら退職する覚悟でいるといいます。

仕事を続けたいという想いはありますが、あくまで、自分がしっかりと現場で役に立てることが前提条件になっているのです。

こういった考え方を持った上で仕事に臨んでいるからこそ、長く職場で重宝され、信頼される人材であり続けられるのだろうと思います。

何事も断らずチャレンジする

 新しい仕事は、自分を試すチャンスになります。人が「やってみたら」言ってくれたことなのに、私が「できない」と言うのもおこがましいと思って、断らずに挑戦してきました。(中略)「若いときの苦労は買ってでもせよ」と言いますが、人は苦労を乗り越えて、人間性が培われていくのだなと思います。

特に大きな挑戦となったのは、精神科病院の副総婦長として勤めていた時に、看護学校の講師をしたことでした。

それまで、人に教える経験をしたことがなかった池田さんは、「まずは自分が勉強しないと」と、看護教育に関する本や看護雑誌を読み漁り、猛勉強をしたといいます。

その苦労が、転職先の病院に併設された看護学校で教えたり、講演活動をしたりすることに活かされました。

 いろいろな経験をさせてもらったので、年をとるにつれて何事も「どんとこい」という気持ちになってきました。今の職場でも、みんなが「困ったな」と言っていても、私は小さいことで動揺しなくなりました。そうクヨクヨせんと、解決できる知恵がついたような気がします。 経験してきたことが、肥料になっているんでしょか。年いって、ゆったり構えることができるようになったのは、いいことですね。

この部分を読んで私が似たような経験として思い起こしたのは「出産」です。

初めての出産の時には、いくら情報収集をしても「陣痛とはどれ程のものなのか」「どれくらい時間が掛かるものなのか」など、不安でいっぱいです。

ですが、一人目の出産を経験すると、二人目のときは

「陣痛の間隔がだいぶ短くなってきたから、あと少しの辛抱」

「自分の場合はあまり水を飲むと気持ち悪くなるから控えめにしよう」

と、具体的な対策や心づもりができるので、過剰な心配をせずにドンと構えていられました。

“経験したことが、肥料になっている” とありますが、ほんの小さなことでも、経験していれば、似たような場面でそれを活かすことができます。

年齢を重ねた時に、何でも「どんとこい」という気持ちになれるように、自分にとってチャレンジングな経験もたくさんしていけたらいいなと思いました。

おわりに

今回は、池田きぬさんが書かれた『死ぬまで、働く。』をご紹介しました。

女性が外で働くことが一般的ではなかった時代、池田さんが働き続けた理由は「生活のため」という部分が大きく、看護師という職業に高い志を持っていたわけではなかったといいます。

それでも最終的に やっぱり、仕事が生きがいなんでしょうね。”と言えるのは、目の前の仕事に全力で取り組んできたことで、仕事を「好きになれた」ということだと思います。

『死ぬまで、働く。』は、「働くとは何か?」という普遍的なテーマに対してたくさんの示唆がある作品です。

紹介しきれていない部分が多いので、興味を持たれた方はぜひ実際に本書を手にとってみてください。

この記事が何か少しでもお役に立てば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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プロフィール
ひなた

・2児を育てる30代ワーママ
・理想の生き方を模索中
 年間読書量:90冊
 ※Audibleでの【耳読書】含む

ブログ『ひなたの本棚』では、
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をコンセプトに、生き方や働き方、
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