『自己啓発の源流「アドラー」の教え 嫌われる勇気』をご紹介します。
2013年に刊行された本書は、世界累計1000万部以上 (2024年) を売り上げる大ベストセラーです。
フロイト・ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されるアルフレッド・アドラーの思想 (アドラー心理学) を、哲人と青年の対談形式の文章によって分かりやすく説明してくれます。
『嫌われる勇気』は次のような方にオススメです。
- 自分と他人を比べて落ち込んでしまうことがよくある
- 進路や就職先など、なんとなく周囲の期待に合わて選んできた
- 「アドラー心理学」に興味がある
タイトルにもある「嫌われる勇気」とはいったい何なのか?
この記事を読んでいただくことで、その意味が分かるはずです。
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『嫌われる勇気』基本情報
『嫌われる勇気』はこんな本
『嫌われる勇気』は、哲学者・心理学者の岸見一郎さんとライターの古賀史健さんによる共著で、アドラーの思想 (アドラー心理学) について解説した作品です。
「哲人」と「青年」の対談によってストーリーが展開するので、アドラーについてまったく知識がない人でも、楽しみながら読み進めることができます。
血気盛んな青年は、哲人が説くアドラーの思想に真っ向から食ってかかるのですが、冷静な哲人にことごとくやり込められます。そんなやりとりも、読んでいて痛快です。
けっして理解が早いとは言えない青年に対し、哲人は様々な例を挙げながら徐々に確信にせまっていくので、読者も少しずつ理解を深めることができます。
基本情報
- 著者:岸見一郎・古賀史健
- 出版社:ダイヤモンド社
- 出版日:2013年12月12日
- 項数:294頁
人はいつからでも幸せになれる
哲人は、ひとりの例外もなく、いまこの瞬間から、人は幸福になれると説きます。
にわかには信じがたいこの言葉に、青年は真っ向から反論。
人は出生や性別、才能、親など自分で選ぶことができないことから、紛争の多い地域に生まれる、あるいは虐待する親の元に生まれるなど、「生まれながらにしての不幸」は存在すると主張しました。
不幸の一例として、青年は引きこもっている友人を引き合いに出し、なんらかのトラウマが彼を社会に出ることをはばみ、不幸にしていると言います。
哲人はこのような考え方を“フロイト的な原因論“と呼んでその矛盾を指摘しました。
青年の主張が正しければ、家庭環境に問題のある人は、みな引きこもりになっているはずですが、似たような境遇でも、幸せに生きている人はたくさんいます。
哲人は、「本人に何らかのメリットがあるから引きこもっているのだ」とかなり大胆な考えを青年にぶつけます。
引きこもりになれば、親の注目を集めて心配してもらえるし、周りからも腫物に触るように丁寧に扱ってもらえます。そういった目的があって、青年の友人は引きこもることを選んでいると言うのです。
アドラー心理学では、このような考え方を「目的論」と呼びます。
目的論は「過去の出来事は、今のあなたを作った原因ではない。今のあなたを選択したのは、あたな自身だ」という理論であるため、一見すると懲罰的な自己責任論にもきこえます。
ですが、現在の状況やこれからの未来が、すべて過去に起因するとしたら、私たちができることは何もありません。
過去に不幸の原因があれば、この先もずっと不幸なままです。
一方で、目的論を通して世界を見れば、「過去に何があっても、これからの生き方を決めるのは自分自身であり、未来は今ここの選択によって変えられる」と考えることができます。
過去にどのような意味づけをするかは自分次第です。
今、幸せを感じることができなくても、必ず幸せになることはできるし、人は変われる。
そういう意味で、目的論は未来に希望を灯す考え方とも言えそうです。
悩みの全ては対人関係
アドラーは、人間の悩みはすべて対人関係の悩みだと言い切ります。
人間は他者から切り離されているて生きることはできず、どんなに高尚な悩みでも、必ずどこかで対人関係に行く着くというのです。
例えば「劣等感」というネガティブな感情について。
劣等感とは他人よりも劣っているという感覚のことですが、これは他者と自分を比較するという意味で、対人関係から生まれてくる悩みです。
「人よりも劣っているという感覚」自体は悪いものではなく、健全な努力を促すこともありますが、なんでもかんでも他人と比較していると不幸になってしまいます。
他人と比べるということは、無意識の内に勝ち負けを考えることです。
周囲の人々に対して「競争」の意識を持っていると、あの人には勝った、この人には負けたと、他者全般のことを、ひいては世界全般のことを「敵」だとみなすようになります。
周りが「敵」だらけでは心の休まる暇がありません。
では、どうすればいいのか?
幸せになる第一歩は、私達を取り巻く他者を「仲間」だと実感することです。
綺麗ごとのようにも聞こえますが、人々を「仲間」だと思えるか「敵」だと考えるかで、世界の見え方はまったく変わってきます。
例えば、ひきこもりやニートなど、働くことができなくなった人は能力が低いのではなく、対人関係の中で傷付き、周囲の人を「仲間」だと思えなくなったことで、社会に出る勇気をくじかれてしまった人だと考えます。
すべての悩みは対人関係と言われても、ピンとこない方も多いでしょうが、本書の読み進めていく内に「確かにそうだな」と思えてくるはずです。
自由とは人に嫌われること?
アドラー心理学では「承認欲求」を明確に否定します。
他者から認められたいと願うことは、人間の普遍的な欲求のように思えますが、他者の期待に応え、他者の期待を読み、 他者の望み通りに生きることは「他人の人生を生きること」に繋がります。
自分の信念・価値観に従って生きていれば、それを否定してくる人もいるし、自分を嫌ってくる人も出てきます。でも、それでも構わないそうです。
なぜ、嫌われても構わないのか? ここで「課題の分離」という考え方をご紹介します。
例えば、なかなか勉強しない子どもがいたとします。親はつい「勉強しなさい」と首を突っ込んでしまいがちですが、勉強は「子どもの課題」であって「親の課題」ではありません。
対人関係のトラブルのほとんどは、「他者の課題に土足で踏み込むこと」「自分の課題に土足で踏み込まれること」によって引き起こされます。
もし、勉強をさぼって困った事態になったとしても、その責任を最終的に引き受けるのは子どもであって、親ではありません。
ただし、放任すればいいというのではなく、子どもが勉強したいと思った時にはサポートできることを伝えておきます。
非常にドライな考え方にも思えますが、「あなたのためを思って言っているの」という言葉の裏には、親の世間体や見栄が隠れていることが多いのも事実です。
今回は勉強を例に挙げましたが、「他者の課題」の中には、” 私の意思ではどうにもできないこと (自分の言動について相手がどう評価するかなど)” も含まれます。
もし、相手が自分の課題に介入してきて、相手の思い通りにいかなくて嫌われたとしても、それは相手の課題 (私の意思ではどうにもできないこと) です。
あえて嫌われるような態度をとる必要はありませんが、どんなにあなたが礼儀正しく誠意をもって相手に接しても、嫌われることを完全に避けることはできません。
他者が10人いるとすると、あなたを好いてくれる人が2人、嫌ってくる人が1人、後の7人はどちらでもない人達だそうです。
あなたを嫌ってくる10人の内の1人に合わせて、自分を曲げる必要はまったくありません。
自由に生きるのは、嫌われることを恐れないこと。
自由に生きるためには「嫌われる勇気」が必要なのです。
おわりに
『自己啓発の源流「アドラー」の教え 嫌われる勇気』をご紹介しました。
本書は読みやすくまとめられているとはいえ、アドラーの思想自体が非常に奥深いものであるため、読み返す度に理解が深まっていく感覚があります。
一読するだけでも充分に価値があると思いますが、ぜひ手元に置いて何回も読みたい名著です。
興味を持っていただけたからは、実際に手にとってみてください。
この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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【アドラー心理学の書籍書籍】
・幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え2 [ 岸見一郎 ]
・コミックでわかるアドラー心理学【電子書籍】[ 向後 千春 ]
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