知識は人を自由にする。いろんな本を読んで、世界にはいろんな価値観や生き方があると知ることができて、自分の生き方にある程度自信を持てるようになった。本を読むことで、僕は生きるのが楽になった。
今回は、phaさんの『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』をご紹介します。
phaさんは京都大学卒業という高学歴ながらも28歳で会社員を辞めて以来、シェアハウスでニート生活を送っています。
本書は以下のような方におすすめです。
- もっと自分の価値観にあった生き方をしたい。
- 社会からの「こうあるべき」に違和感を感じる。
- 今の自分が置かれている状況・環境がしんどい。
phaさんのようなマイノリティな生き方を選んだ人の視点には、”普通”に生活していると気づけないことがたくさんあります。
もし今の生活に違和感があるなら、本書を読むことで「仕事や人間関係、お金に縛られなくても、案外生きていけるかも?」と気持ちが軽くなるはずです。
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『持たない幸福論』はこんな本
本書の基本情報
- 著者:pha 1978年生まれ。大阪府出身
- 出版社:株式会社 幻冬舎
- 刊行:2015年5月25日
- 頁数:189頁
タイトルの通り「働くこと」「家族」「お金」に関する著者の考えが書かれています。
目次
- はじめに
- 第一章 働きたくない
- 第二章 家族を作らない
- 第三章 お金に縛られない
- 第四章 居場所の作り方
- 本書のまとめ
- あとがき
- ゆるく生きるためのブックガイド
『持たない幸福論』の内容紹介と感想
働きたくない
著者の仕事に対するスタンスは明確です。
ずばり「なるべく働きたくない」
小さい頃から学校に行くことが苦手で、決められたスケジュールに合わせるのが苦痛だったそう。
大学を卒業して就職してみるも、やっぱり合わず28歳で退職。
今はあまり働いていないのでお金はないけれど、生活自体に不満はないそうです。
著者は仕事に対して、少し斜に構えた見かたをしています。
(前略) 本当は「仕事をこなすこと」自体が「目的」なんじゃないだろうか。 多くの人の本当の行動の目的は、「暇潰し」というか「何もしていないと不安だからなんでもいいから何かをやっておく」くらいのものだ。(中略) 要は、みんな何もせずにぼーっとしているのが苦手だから、何か意味のありそうなことを見つけて時間を潰しているだけ、ということが世の中には多い気がするのだ。
労働を「美徳」とする価値観もある中、それを「暇潰し」と表現している辺りが著者らしいと思います。
「何もしてないと不安だから、とりあえず『仕事』してるだけじゃない?お金も入ってくるしね。 」
と指摘されたみたいです。
人は “何か自分を取り囲んでいる世界に影響を与えられる”と思いたい生き物です。
その「世界」というのは、人それぞれ異なっていて、
「趣味の庭仕事に没頭する」のも「ゲームの中で街を発展させる」のも「ゴミ屋敷にゴミをため続ける」のも、本質的には「仕事を頑張る」ことと変わりがないと言います。
(前略)人はそれぞれ生きている世界や大切にしているものが違うけれど、どの生き方が偉いとか正しいというものはない。(中略) 要はその人が「自分が世界を作っている」「自分は何かをしている」と充実感を感じられたらそれでいい。だから、違う世界に住んでいる他人の言うことは気にしなくていいし、自分が自分の世界の中で充実感を得られるにはどうしたらいいかだけを考えよう。
ただし、人間は社会的な生き物でもあるため、他人から「認めてもらう」ことがないと虚しさや寂しさを感じてしまいます。
「ゴミ屋敷にゴミをため続ける」という行為を他人に理解してもらうことは難しいです。
その点「仕事」というのは他人のため、社会のために何か貢献することですから「承認欲求」も満たされやすく、虚しさから逃れる手段としては効率的だといいます。
仕事というのは、所詮「暇潰し」「虚しさから逃れる効率的な手段」。
この視点を持っておくと、本当に仕事がしんどくなった時に、それに固執して自分を追い詰めなくてもすみそうです。
家族を作らない
著者は、家族をつくることを次のように捉えています。
僕が考える人間の面白さは、生の多様性というか、「ものすごくいろんな生き方に開かれているところ」だ。だから、「子どもを作る」というもの結局一つの選択肢に過ぎないと思っている。
冒頭にも書いたように著者はシェアハウスで暮らしています。
「家族」というのも、血縁関係や性的関係を含むシェアハウスの一種に過ぎないのではないかという主張には「確かに、そうかも」と思いました。
しかも、シェアハウスとは異なり「家族」は外部から「閉じた」状態になりがちで、問題があってもブラックボックス化してしまう危険性があります。
さらに、そもそも「家族」という仕組み自体に無理があるのではないかとも言います。
恋愛感情や性欲を満たす相手も、同じ家で一緒に生活をする相手も、子どもや病人や老人の世話も、家が持っている資産や家業の運営管理も、自分の病気や死を看取る人も、全部一つのグループの中だけでやっていこうという理想を持った、盛りだくさんなシステムが「結婚」と「家族」だ。
著者は「家族」という仕組みの歴史を説明した上で、
「家族の絆なんてものは「社会の標準」が強すぎて、そこから外れた生き方ができなかったから、存在しているように見えていただけでは?」
と指摘します。
要は、本当は「結婚」や「子どもを産むこと」を望んでいなくてもそうせざるを得なかったり、「離婚」したくてもできなかっただけでは?
ということです。
特に女性は自ら働いて生きる道が開かれていなかったことを思うと、納得させられます。
家族という仕組みは便利でもあるから完全に家族を捨てる必要はないけど、家族だけじゃなくていろんなところに頼れる関係を作っておいたほうが安心だし、どうしても家族が自分を苦しめる場合は家族を捨ててしまってもいい。「家族という居場所は選択肢の一つ」くらいにみんなが考えるようになったほうが生きやすい楽な社会になるんだと考えている。
お金に縛られない
「お金に縛られない」とは言っても、生きていく上でいくらかのお金は必要です。
著者は、原稿を書いたりウェブサイトを作ったりして、年収100万円程を得ています。
もっとお金が欲しいと素直に思うそうですが、そのためにより多く働くくらいなら、今の生活で満足だと言います。
多分僕がお金がなくてもそんなに不満がないのは自分が一番やりたいことは実現できているからだと思う。(中略)会社に勤めているときはそれが全くできなかった。(中略) 今のほうが、お金がなくても気持ちに余裕があって自分のペースを保って生活ができているのでちゃんと生きている感じがするし、全体的な幸福度は高い。
会社員時代は、そこまで欲しくないモノを適当に買ってストレス発散することも多かったそうです。
お金は便利なツールだけど、なければないでどうにかなるし、生活を楽しく豊かにすることはいくらでもできると言います。
さらに、「お金」というツールの性質については次のように述べます。
(前略) お金はなんにでも交換できるから万能ですごく便利なツールだ。だけどお金は抽象的な基準なので、お金だけを基準にしてい考えているとそれぞれの個人によって少しずつ違う具体的な生活の実感や幸せからかけ離れていくことがある。
現代は、お金さえあれば何でもできる、手に入る時代です。
でも、お金があればある分だけ、幸せになれるのかと言えば、そう単純でもありません。
現代で充実感を持って生きるには「お金以外の部分で動く部分」も大切で、
そのためには「体を動かして何かをする」「自分の手を動かして何かを作る」ことが有効だといいます。
おわりに
今回は、phaさんが書かれた『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』をご紹介しました。
最後に著者が生きる上で大事にしていることを引用して終わりたいと思います。
1.一人で孤立せずに社会や他人との繋がりを持ち続けること
2.自分が何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるかをちゃんと把握すること
この考え方に共感できる方は、ぜひとも本書を実際に手にとってみてください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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