この本は「時間の使い方」を見直し、自分の生き方を選ぶための本です。24時間の采配権が自分にない人のための本です。
尾石晴 (ワーママはる) さんが書かれた
『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』をご紹介します。
フルタイムワンオペ育児で、一気に時間がなくなった著者は、巷で言われる様々な時短テクニックを試しますが、本質的な解決にはなりませんでした。
本書には、テクニックに頼らず「満足いく時間の使い方」を実現していった著者ならではの「考え方」がつまっています。
『やめる時間術』は次のような方にオススメです。
- 育児や介護、長時間労働などで、「自分の時間」が全然ない
- 今の「時間の使い方」に満足できない
- 時間をつくる? でもどうやって? と思っている
本書を参考に、「自分の時間」を取り戻し、満足のいく生き方を選び取っていきましょう。
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『やめる時間術』の基本情報
基本情報
- タイトル:やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ
- 著者:尾石晴 (ワーママはる)
- 出版社:株式会社実業之日本社
- 出版日:2021年1月28日
- 項数:197頁
著者紹介:尾石晴 (ワーママはる)
外資系メーカーに16年勤務し、うち6年は管理職として活躍。(中略) その傍ら、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター・メンタルオーガナイザー・ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を次々と確保。2020年4月に会社員を卒業し、サバティカルタイムに突入。音声メディア「Voicy」では1000万かい再生超えを記録し、トップパーソナリティーとして活躍中。
時間がない生活は「自分がない」生活
“「忙しいけど、なんだか充実感がない、このままでいいのか?」“
と感じている人は、少なくないはずです。
自分の時間を自分の采配でコントロールできず「やるべきこと」に追い立てられる生活では、段々と心がすり減ってしまいます。
時間の使い方は、人生をどう生きるか?そのものです。
どうしたら、幸せな時間の使い方、幸せな人生を実現できるのでしょうか?
時間を生みだす3つの力
フルタイム・ワンオペ育児によって、時間がぜんぜんない生活に突入した著者は、時間の使い方を見直し、次の3つの力をつける必要性に気付きました。
- 見える化力 (今の時間の使い方を俯瞰し、把握する)
- 引き算力 (やらないことを切り分け、費やしていた時間をやめる)
- 足し算力 (人生の目的にあわせた時間や行動を再設定)
本書の時間の考え方を表したものが、次の計算式になります。
➀自分の使っていた時間 (見える化)- ➁価値の低い時間 (引き算) = ③本当にやりたいことに使う時間 (足し算)
こうして見ると、意外とシンプルですね。
それぞれの「力」について詳しく解説します。
見える化力
時間は、次の3つに分けることができます。
- 生活時間(食事、睡眠、排泄、清潔を保つといった生命維持活動)
- ルーチン時間(仕事、家事、送迎など)
- 自由時間(余暇、自由に使える時間)
予定をめいっぱいこなしているのに、充実感を感じにくい「時間がない!」と感じてしまうのは「自由時間」が少ないときです。
「自由時間」を確保して、充実した生活を手に入れるために、まず着手すべきは「見える化」です。
お金と一緒で「なぜなくなっているのか?」、この3つの時間を一体何にどのくらい使っているのかをまずは全て見える化することがスタートです。
見える化の手順
現在の時間の使い方を「見える化」する具体的な手順は次の通りです。
- 24時間タイムログで時間を見える化する
- ふせんで細分化する
- 使った時間に成績をつける
まず紙を用意し、起床・就寝時間を記入したら、睡眠の時間を塗りつぶします。
さらに、生活時間(食事・入浴等)を塗りつぶしていき、ルーチン時間を線で囲います。
ここまでの作業が終わったら、今度は使っている時間を具体的にフセンに書いて貼っていきます。
例えば「メール返信 30分」「会議 90分」といった具合です。
そうすると多くの場合、「何に使ったのか分からない時間」=「使途不明時間」が出てきます。
この「使途不明時間」、時間の見積もりが甘く、思っている以上に作業に時間がかかっていたり(メール返信に30分が、実は45分も掛かっていた)、
無意識にスマホを見たりしている時間である可能性が高いです。
ここまで「見える化」できたら、自分が使った時間に「成績」をつけていきます。
評価の基準はタイムパフォーマンス、使った時間に対して得られた成果をみていきます。
要は、その時間の使い方に満足できているかどうかです。
同じ、通勤時間 30分でも、「早く会社に着かないかな、なんて無駄な時間」と思っているなら「×」でしょうし、「貴重なインプットの時間だ!」と思っているなら「〇」です。
あくまで自分の主観で「〇」「△」「×」の評価をしていきます。
引き算力
「時間の引き算」とは、自分の人生の優先度に基づいて、優先度の低いものにかける時間をやめることです。 この時に大事になるのは「自分の価値観」です。
あれもこれも「やらないと!」と思ってしまうのは、「自分にとって大切なことはなにか」という価値観が曖昧だからです。
時間の引き算をすることで、自分の価値観があぶり出され、やめた時間で本当にやりたいことが見えてきます。
先ほどの「見える化」の作業で、「△」や「×」がついた時間は、引き算を検討していきましょう。
引き算のテクニック
どの時間を引き算するのか?この基準となるのが自分の価値観です。
本書ではこれを明確にするための3つの「ものさし」や4つの「テクニック」が紹介されています。
今回は、その中から2つのテクニックを解説します。
5つの質問をしてみる
- これをやめたら誰かが困るのか?
- 誰かがやってくれるならやってもらいたいか?
- 時間が無限にあってもやりたいか?
- この時間の代りにやりたいことがあるか?
- 3年、5年、10年後につながる時間になるか?
著者は、「週2回の掃除」に関してこの質問をしてみて、
「誰もやってくれないけれど、やらないことを選べば子どもと過ごす時間が増える」
と考え、ロボット掃除機を導入することにしました。
この引き算の答えは一つではなく、「夫にやってもらう」「家事代行を利用する」「掃除を週1度にする」など様々です。
自分で自分に質問してみて、答えを出していきます。
やりたくないリストをつくる
巷の手帳術は、「やりたいことリスト」を書くように推奨されていますが、やりたいことをやろうと思ったら (足し算)、やりたくないことを決める必要があるので (引き算)、日頃から「やりたくないこと」を明確にしておくのです。
確かに、「やりたいことリスト」は時間をつくらないと消化されずに溜まっていく一方ですよね。
これも、自分の主観で「やりたくない」と思ったことをとりあえずメモしていきます。
その上で、やめられないか? 減らせないか? を考えていきます。
足し算力
「引き算」は「人生の優先度付け」だと記しましたが、「足し算」は「人生の選び方」であり、引き算してできた時間に「理想の一日」を過ごすために必要な「点」を打っていく作業です。 点打ちとは、自分の価値観に基づいて大事なものを取り入れていくことです。
「点打ち」のエピソードとして、Appleの創業者スティーブ・ジョブズの「コネクティングドット」が紹介されていました。
大学時代にパソコンとは全く関係ないカリグラフィーの勉強にのめりこんだことが、Mac特有の美しいフォントを生みだすことに繋がったという有名なエピソ―ドです。
その時々では単体の「点」でしかなかったことも、振り返り、つなぎ合わせることで「線」になります。
すぐに効果がでなくても、今やっていることが未来に繋がると信じて、チャレンジすることが大切なのです。
私たちの毎日の行動やそれに使った時間は、人生という長い道に一つずつ点を打っているのと同じです。 その点は、いつか線になるかもしれないし、ならないかもしれない。しかし、点を打たない限りは線になることは絶対にないのです。
どんな時間を「足し算」するのか?
まずは、理想の24時間の過ごし方を言語化していきます。
この段階では「理想」と「現実」に大きなギャップがあるはずです。
「足し算」すべきは、この「理想」と「現実」の差を埋めるための、スモールアクションです。
例えば著者は、現在の労働時間が、理想の一日と合っていないことに気付きました。
でも、いきなり仕事を辞めてしまうのは収入面が心配です。
そこで、引き算した時間に「労働資本型以外にどんな仕事があるか調べる時間」や「我が家の最低固定費を書き出す時間」などを作りました。
これによって、少しずつ理想の生活に近づいていきます。
理想の一日を書くと「目的の方向性」が見えてきます。すると目的地にいくための「手段」や「地図」にアンテナが立つのです。そこへ向かって、現在の時間の使い方を合わせていく。これが「足し算」です。
おわりに
尾石晴 (ワーママはる) さんが書かれた『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』をご紹介します。
「時間がない」「今の生活に満足できない」と悩んでいる方へ、問題解決のヒントになったかと思います。
この記事では、本書のエッセンスを解説しましたが、まだまだご紹介できていない部分が多いです。
興味を持っていただけた方は、ぜひ実際に本書を手にとってみて下さい。
この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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